賞レース上位入賞モデラーが手掛けた“変態”ガンプラ「自分の“尖り領域”を確立することが大切」

さまざまな賞レースで上位入賞を果たしているモデラーのRirito(@ririto119)さんは、ミキシング(他のキットのパーツを流用すること)を駆使し、さまざまな作品を作り出してきた。6月に発表した近作『カオスパーブガンダム』は、アーマーを着脱することで、『カオスコアガンダム』と『カオスパーブアーマー』へ“変態”可能な凝った仕様。鮮やかなカラーリングも相まって、SNSでも話題となった。本作制作の背景や、賞レースについての話を聞いた。

■劇中で活躍できなかった好きな機体を別の形で注目させれたら

——鮮やかな緑が印象的な『カオスパーブガンダム』がSNSで話題になりました。本作はどのようなきっかけで作ることになったんですか?

【Ririto】『GUNSTA』(ガンプラモデラーが作品を投稿するサイト)さんのコンテストが久しぶりに開催されるということで、それに向けた作品を考えました。以前、『HGBF アメイジングストライクフリーダムガンダム』と『HG カオスガンダム』を使った『アメイジングカオス』という作品で、初めて応募したGUNSTAさんのコンテストで2位(800作以上応募)に選んでいただいたことがあり、今回も同じ機体を使った作品でリベンジしようと思って着手しました。構成を考えるのに1ヵ月ほど、実作業は2ヵ月くらいかかりました。

——『HGBF アメイジングストライクフリーダムガンダム』はともかく、カオスガンダムとは、渋いチョイスですね。

【Ririto】アニメ放送当時、リアルタイムで見ていたのですが、その時かっこいいなと感じた機体の一つがカオスガンダムでした。ただ劇中ではあまり活躍したシーンが見られず、少し残念な最期を迎えてしまいました。なので、好きな機体を少し別の形で注目させれたらいいなとは考えていましたね(笑)。

——ガンダムとアーマーが分離する“変態”可能なギミックはどのようにイメージしたんですか?

【Ririto】以前、『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』という作品があって、その主人公が、小さなコアガンダムという機体にさまざまなアーマーを換装していたんです。放送されていた当時、多くのモデラーの方がオリジナルのアーマーを作っているのを見て、いつか自分もチャレンジしたいと思っていました。

——それぞれ単体+合体後の形をイメージするとなかなか簡単ではありません。

【Ririto】そうですね。すべての状態でカッコいいデザインになるように1つの機体にまとめつつ、それぞれの特徴も失わせないように設計するのに苦労しました。ミキシングにおいて基本接着を行わず簡単な加工で上手くパーツ形状を活かして組み上げていきました。制作時には必ず試作用のガンプラを用意して、いろいろ試してこれでいけると確信して初めてて新品のキットを開いて本番用を作成するという少しもったいない作り方をしました。

■自身の評価を分析して分かった賞レース好成績の要因

——こだわって制作された本作は、GUNSTAさんのコンテストで3位とお伺いしました。どのような点が評価されたと分析されていますか?

【Ririto】すごいことやってそうに見えるかもしれないんですが、実は本当に出来ること(使える技術の幅)が少ないです。ただその分、人と何か違う自分の“尖り領域”を確立することが大切だと自分では考えて取り組んできました。

——“尖り領域”?

【Ririto】はい。私の作品が今までどういう評価をもらえてきたのかを考えた時に、「カッコいいけど面白いミキシング」「ラッカースプレーでの綺麗な塗装」「はみ出しのないスミ入れ」「HGに細く精度の高いスジボリ」などが上がりました。これらは、自分で何度も何度も練習したもので、その中で基礎を理解した後に自分に合った周りとは違うテクニックを培っていきました。
例えば塗装後に行うのが一般的な「墨入れ」を、私は最初に行います。塗装後に塗装を優しく削り、スミを掘り起こすという手法にたどり着きました。またスジボリもタガネを持っておらず細い線を引きたかったのでカッターナイフ1本でできるようになるまでひたすら余ったパーツを使い練習しました。

——際立つ領域を持つために地道に努力されたんですね。

【Ririto】技術の幅が狭い分、出来ることくらいは一切妥協せずにやるようにしています。面倒くさいと感じたものこそやるようにして、それをひたすら繰り返してるうちに面倒くさく感じなくなり、また面倒くさそうなところを探す…これの繰り返しですね。完成した時の感想が「できた!! うれしい」ではなく「こんなこと二度とやるかっ!!!」っと感じるくらいがちょうどいいと思ってます(笑)。

——そう言われて改めて作品を見ると、実に細かいところまで繊細に作られています。そうしたところが、賞レースの審査員にも伝わるんですね。

【Ririto】賞レースでの結果は、その審査基準がたまたま自分の評価のポイントと似ていて、ハマっただけでだと思っています。たまたま評価されることもあれば、違う観点から作品を見る方もいる。なのでまずは自分の作品の最初の審査員は自分だということを意識し、そこで満点を取れる、自分を魅了できる作品作りを心がけてます。

——SNSでは魅了された方からのコメントもたくさん届いてました。

【Ririto】ありがたいことに多くの評価をいただきました。特にデザインとカラーリングのついて褒めていただくことが多かったです。またエアーブラシではなくラッカースプレーの塗装だということで驚いてくださる方も多かったです。「スプレーなら自分もやってみようかな?」など、自分の作品が誰かの感性に響いて行動にまで移らせたことは誇らしかったです。

——心揺さぶられるフォロワーのためにも次作にも期待したいです。では最後に、Riritoさんにとって「ガンプラ」とは?

【Ririto】終わらせ方が分からなくなった趣味です。完成する前に次にやりたいことが出てくるので(笑)。でも、おかげでいろいろな繋がりができ、今ではライフワークに近いものになっているかもしれませんね。

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賞レース上位入賞モデラーが手掛けた“変態”ガンプラ「自分の“尖り領域”を確立することが大切」