「うれることが恩返し」7日間連続独演会を開く三遊亭王楽さん

東西の寄席は新型コロナウイルスの感染拡大の中、定員の半分以下などの条件付きでなんとか再開できたものの、緊急事態宣言下ではなかなかお客さんの足が重い。さらに、公共施設での落語会が中止や延期になるなど、芸人にとって苦しい状況は変わらない。そんな今、東京・池袋の東京芸術劇場という大きな会場で今月7日から7日間連続8公演という芸歴20周年記念独演会を開くのは、三遊亭王楽さん(43)。「1年半前から決めていたので、ずっと気にしていた」が、なんとか開催できそうだ。【油井雅和/デジタル報道センター】

「笑点」三遊亭好楽さんは父で兄弟子

王楽さんは先代(五代目) #三遊亭円楽 さん最後の直弟子で、人気長寿番組「笑点」でおなじみの三遊亭好楽さん(74)は父親であり兄弟子になる。数年前から落語芸術協会(芸協、 #春風亭昇太 会長)の寄席にも出演している。

「ありがたいことで、ここ数年、新宿の末広亭に年間70席ぐらい出させていただいている。芸協の若手真打ちの方より多いかも。ありがたいというか申し訳ないというか」

2001年に入門し、8年で真打ちに昇進。その直後に師匠が亡くなったが、多くの先輩たちが背中を押してくれた。

「前座の頃から #春風亭小朝 師匠や #笑福亭鶴瓶 師匠といった先輩方にお世話になり、二つ目、真打ち昇進の落語会にも出ていただいた。でも、ゲストをお呼びしての会は今回が最後。25周年の時には一人でやれる体になっていないといけない」と話す。

今回の独演会のゲストは小朝さん、鶴瓶さんに、 #桂文枝 さん、立川志の輔さん、昇太さん、立川談春さん、そして好楽さん、同期で同い年の春風亭一之輔さんという面々。しかも、ゲストの十八番(おはこ)に王楽さんが挑む、という趣向だ。

冒頭と最後に入門からこれまでの自身の活動を振り返る映像を流す予定で、以前にゲストと撮影したツーショット写真を載せたパンフレットも作製した。その中で談春さんとの写真だけ粗い画像だったので、取り直しに足を運んだ時のこと。談春さんからこう言われたという。

「お世辞じゃなくて、自分以外の会で久々に面白い企画だと思った。ゲストの十八番に挑んで、これだけのメンツそろえて、オレもやってきたから大変だと思う。『三枚起請(きしょう)』を小朝師匠の前でやるなんて、オレたちの代でいえば(古今亭)志ん朝師匠の前でやるのと同じだからな」と。

談春さん「空振りでもいいから思い切り振れ」

さらに談春さんが続ける。

「今のお前が、言ってみればこんな暴挙のような企画をやる必要はないと思うけれど、お前は覚悟があるんだろう。オレも本気でぶつかっていくから、きれいな流し打ちのヒットを打つな。そんなの客も望んでいない。『うーん、よかったね』って言って、たぶん客は二度と来なくなるだろうから。空振りでもいいから思いっきり振れ。『ダメだったあ』でも、その後、2回3回は来てくださるようになるから」

談春さんなりの激励の言葉だ。「『お前は何を考えてるんだ』と言われたので、『僕、師匠のマネしてるだけですよ』と答えたら、談春師匠は『普通ならこんなこと、みんなやらないんだよ。だけどオレとお前はちょっと似てるところがあるから』」と。王楽さんは「興奮しながら帰ってきました」と振り返る。

「これだけ先輩方にお世話になって、どうやって恩返しをしたらいいのだろう」。ある時、好楽さんに酒を飲みながら尋ねたことがあった。

好楽さんは一言。「簡単なことだよ。うれりゃいいんだよ。うれて同じ土俵にあがること。それしかないんじゃない? オレたちは」。王楽さんはこの一言がずっと胸に残っているという。

公演は7〜13日、東京・池袋の東京芸術劇場 シアターウエスト(小ホール2)。完売の公演もあり。詳しくは、夢空間(http://yume-kukan.net/)へ。

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「うれることが恩返し」7日間連続独演会を開く三遊亭王楽さん