珠城りょう「力量試される」 宝塚月組「桜嵐記」で集大成の熱演

桜舞い散る舞台に立つ武士の姿は、りりしくも、はかない。宝塚大劇場で上演中の「桜嵐記(おうらんき)」で本拠地に別れを告げる月組トップスター、珠城(たまき)りょう。最後に演じる南北朝時代の武将、楠木正行(まさつら)は持ち味を存分に生かした、はまり役だ。トップに就任して5年。開幕前に「珠城りょうという男役の力量を試されている作品」と評していた役に、集大成の熱演を見せている。

正行は、鎌倉幕府の倒幕に貢献した名将・正成(まさしげ)の息子。南朝の武将として、圧倒的な兵力を誇る北朝との戦いに挑む生き様が描かれる。信念に従い、負け戦へと突き進む正行に「不器用な生き方しかできない。一度こうと決めたことを貫いていく感じが私と似ている」と言う。

作・演出の上田久美子は珠城が初めて宝塚バウホールで主演を務めた「月雲の皇子(みこ)」を手がけた「戦友」のような存在。「幹が太く、真っすぐな木をイメージした」という正行像は、誠実な役が似合う珠城と重なる。「愛情を込めて書いてくださった。(信念に)命をかける武将を演じるのは精神力と体力を使いますが、応えたいです」。最後の合戦を前に、南朝の女官、弁内侍(べんのないし)(美園さくら)と心を通わせる場面は切なくも美しい。

退団を思わせる演出も随所に。ただ本人は「(芝居の稽古(けいこ)中に)退団がよぎる瞬間は一度もない」とストイックだ。ショー「Dream Chaser」でも、作・演出の中村暁にサヨナラムードを控えてほしいと要望したという。「私自身や月組のみんなも未来への希望を持ちたいし、お客様も明るい気持ちになっていただきたい」。珠城らしい優しさで、ほとんど湿っぽさのないショーに仕上がった。

入団9年目でトップに就き、「 #天海祐希 (7年目で就任)以来」と騒がれた。「未熟だと自分が一番分かっていました。『月組の質が落ちた』と言われるのだけは絶対嫌で。すてきな組だねって言わせてやるという気持ちが原動力でした」。月組は伝統的に「芝居の組」と称されるが、今は学年を問わずに演技巧者が増え「個性の月組」とも言われる。「それぞれがどう役を表現するかに没頭し、成長してきた。その組の中心にいられることが誇らしいです」

ショーの終盤、男役たちと別れを惜しむように踊る場面で、何かから解放されたように見せる明るい笑顔が印象的だ。「恩返しする気持ちで舞台に向き合いたい」。有終の美を目に焼き付けたい。【反橋希美】

たまき・りょう

愛知県出身。2008年に初舞台。16年9月にトップスターに就任した。「桜嵐記」「Dream Chaser」は宝塚大劇場で6月21日まで。東京宝塚劇場は7月10日〜8月15日。

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