クリアカラーキット×油性ペンで“サイバー空間のガンダム”誕生 「写真作品こそ私の心の中にあるガンダムの投影」

3月にジオングの内部の細かいディティールを表現し、賞賛されたDON-GURIさん(@ten10kozo)は、「『模型の完成』ではなく、それを使った『写真作品』がゴール」と話すほど、写真にこだわった作品を作っている。そんな同氏が作り上げた最新作は、クリアカラー(半透明)のガンダム。色のメリハリがない分、ぼんやりしがちで写真撮影が難しいとされるクリアカラーのキットを制作し、見事な「写真作品」に仕上げた。一体どのようにして、本作を作り上げたのか?

■作例の少ない“クリアカラーキット”…「多くの人の固定観念を覆す」が原動力に

——前回のジオングの作品『80%の完成』に続いて新たに発表されたのは、まるでカラーのレントゲン写真のようなガンダムの作品でした。本作は、どのようなきっかけで制作に至ったのですか?

【DON-GURI】3月に「ガンダムベース」が名古屋にオープンしました。ここに行った際、展示してあった『MG RX-78-02ガンダムver.3』のガンダムベース限定のクリアカラーの展示品があって、非常にかっこよいキットだと思いました。ぜひ写真作品にしたいと思ったんですが、ある問題に気付きました。

——ある問題?

【DON-GURI】はい。クリアカラーは、独特の成型色である半透明のプラスチックのキットのため、輪郭がぼんやりしてディテールが、ほぼ見えないことでした。

——これまでDON-GURIさんが経験したことのない難題だったんですね。

【DON-GURI】そうですね。そもそも、このような半透明のキットを使ったモデリング作品や写真作品を、ほとんど見たことがありませんでした。でも、逆に全ての輪郭を強調することでディテールを引き立たせ、且つ成型色を活かすことができれば、デジタル世界のような雰囲気を出せるのでは?と思いました。具現化できれば、多くの方の固定観念を覆すことができると思い、それを原動力に制作に取り掛かりました。実際ガンダムベースに2回通って展示品を見て構想を練り、「サイバー空間のガンダム」のイメージを膨らませました。

——その難題に対しては、どのような対策を取ったのですか?

【DON-GURI】展示品を見て感じた「輪郭がぼやけている」ことを、輪郭(形状のエッジや稜線)を黒の油性ペンで塗ることで輪郭強調しメリハリの利いた仕上げにすることに取り組みました。輪郭を的確に色を付けていくのが思いのほか大変で、ズレてしまったり、黒色のマーカーの範囲が広くなってしまったり、色が完全に定着しなかったため、せっかくマーカーで付けた色が手についてしまって何度もやり直しています。実は、本作で使用しているのは、単純な事務用品の黒の油性ペンだけなんですよ。

■作品の一番いいところを知っているのは、制作者自身

——黒の油性ペンだけでこれだけの作品ができるんですか!? そうなると写真の力の大きさを感じます。

【DON-GURI】そうですね。半透明の外装から見える内部への奥行きは、写真のHDRの技法を現像段階で行うことで実現させています。
「サイバー空間のガンダム」ということで、色合いを青みのかかったものにして撮影しています。撮影の際に色温度の設定を変えることでイメージに近い色での撮影を行いました。単純に見たままに撮影してしまうと、どこか玩具感が残ってしまうので、よりデジタル作品に近づけるために色味を青くしています。

——こうした作品を拝見すると、写真撮影、現像によって印象が大きく変わることを実感します。ますます写真の面白さ、重要性を感じますね。

【DON-GURI】そうですね。私は写真撮影が趣味で、プラモデル以外の写真の撮影も行っていますが、プラモデルの写真は被写体を自身の思い通りにセッティングできるという利点があります。この点では一般的な写真作品とは大きく異なります。一般的な写真作品は偶然の“刹那”を写真として切り取ったものが多いですが、プラモデルの写真は自分の好きなようにそれを作り上げることができます。大好きなガンプラを自分の考える最高の状態に仕上げ、じっくり撮影して理想のガンダムを写真に残す。この「写真作品」こそ私の心の中にあるガンダムの投影なんです。

——SNSで発表された際の、他のモデラーさんからの反応はいかがでした?

【DON-GURI】作品を見た方から、「クリアのキットってこんな風になるの?」「今までクリアのキットは避けていたけど買って作ってみたい」などの反応をいただきました。狙っていた、多くの人が持っているクリアカラーのキットに対する固定観念を覆す、という目的が果たせたと感じています。

——おっしゃる通り、前作のジオングといい、本作といい、DON-GURIさんの作品は、従来のガンプラのイメージを覆していらっしゃいます。ガンプラを最大限に魅力的に見せるために、どのようなことを考えていらっしゃるんですか?

【DON-GURI】作ったプラモデルは同じ商品であっても、制作者の一人一人の個性によって、世界に一つの作品が出来上がります。そしてその作品の良さを一番知っているのは制作者だけです。そういう意味では本人が満足できていることが一番重要だと思います。
ただ、多くの方の共感を得て、多くの方の心を動かくことを目的に模型制作や写真撮影をするのであれば、「できるだけ多くの人に見てもらう」「できるだけ多くの意見をもらって吸収する」ことでブッシュアップできると思います。そして自身も多くの作品を見ることで、自分にもチャレンジできる技法にも出会えると思います。それを繰り返すことで、自分なりの制作方法を築きあげ、使いこなすことができるようになると思います。

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クリアカラーキット×油性ペンで“サイバー空間のガンダム”誕生 「写真作品こそ私の心の中にあるガンダムの投影」