「肩肘張らず」並河寿美さん、故・佐藤しのぶさんが演じた主役に挑む

兵庫県立芸術文化センター(同県西宮市)で2005年に始まった #佐渡裕 芸術監督プロデュースオペラ。常連のソプラノ歌手、並河寿美がこの夏、レハールの喜歌劇「メリー・ウィドウ」で主人公のハンナ役を演じる。08年に共演した故・佐藤しのぶが演じた役。「しのぶさんのハンナに近づくのではなく、肩肘張らず、私なりのハンナを育てていきたい」と語る。

物語の舞台は1900年ごろのパリ。東欧の小国の公使、ツェータ男爵は、亡き夫から巨額の遺産を相続したハンナが外国人と再婚しないか気をもんでいる。財産が国外に流れないよう、彼女を昔の恋人で書記官のダニロと復縁させようと画策する。夜会が開かれ、良い雰囲気になる2人。ところが、パリジャンのカミーユと密会していたツェータの妻、バランシエンヌをかばうため、ハンナはカミーユとの婚約を発表する。「面白おかしく、楽しい世界観。男性も女性も共感を持って見られるはずです」と並河。

佐渡プロデュースオペラには初回の「ヘンゼルとグレーテル」から参加。06年の「蝶々夫人」、12年の「トスカ」ではタイトルロールに起用された。08年の「メリー・ウィドウ」にはバランシエンヌ役で、ハンナ役の佐藤と同じ舞台に立った。「大きなプロダクションとして関わった最初の場所。翌年には蝶々さんを複数の日程で歌わせてもらい、若かった私にとって大きな経験になった」と感謝する。

「いろんな思い出、よみがえった」

ハンナ役のオファーを受け、08年の楽譜を引っ張り出した。バランシエンヌとして見ていたハンナは大人なイメージ。「しのぶさんのハンナが本当に美しくて、こんな口調でセリフをおっしゃっていたななどと、いろんな思い出がよみがえってきた」。憧れの佐藤が演じたハンナの印象は今も強く残っているが、自分なりのハンナのイメージを作り上げている。

舞台上で意識しているのは役に入り込みすぎないこと。そして、絶唱や熱唱はしないということだ。感情だけで歌っていては美しい声を保てないし、声が割れる可能性もある。「役柄の中に第三者的な自制心を持たせています」

ウキウキするようなワルツやフレンチカンカンなど生き生きとした曲に彩られたロマンチックコメディー。「お金が勝つか、愛が勝つか。ハンナとダニロをじれったいなと思いながらも応援してもらえたらうれしいです」

7月16〜25日(19、23日休演)の全8回公演。ハンナ役は高野百合絵とのダブルキャストで、並河は17、20、22、25日に出演。日本語上演、日本語字幕付き。佐渡指揮、兵庫芸術文化センター管弦楽団、ひょうごプロデュースオペラ合唱団。同センター(0798・68・0255)。【倉田陶子】

なみかわ・ひさみ

門田泰子、田原祥一郎に師事。「フィガロの結婚」の伯爵夫人、「蝶々夫人」「トゥーランドット」「カルメン」のタイトルロールなど幅広く活躍。母校の大阪音大で後進の指導もする。

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