未来から来た殺人サイボーグだけど禁酒法時代のギャングのやり方に学んでみた。『エンパイア・オブ・シン』レビュー

「お前ワルいゲーム好きだろ?」って言われた

 1920年代、アメリカ・シカゴ。悪が渦巻く禁酒法の時代を舞台に、プレイヤーは全14人いるギャング/マフィアのボスからひとりを選択し、暗黒街を牛耳る……。それがこのたびセガから発売されるPS4/Nintendo Switch用ソフト、『エンパイア・オブ・シン』の目的だ。

 おいっす。殺人サイボーグVTuberのマシーナリーとも子よ。今回はなぜか電ファミニコゲーマーから

「殺人サイボーグのアンタなら、このワルのゲームのレビューをいい感じに書くことができるだろう……」

 という依頼が来たので、10〜15時間くらい遊んだインプレッションってやつを書いていくぜ。しかしなんて言い草だ。人類を殺すことは人類にとっては悪かもしれないけどサイボーグにとっては自然で、むしろ徳が高いことなのに……。まあギャラがもらえるのでやりますが。私はコレ(親指と人差指で輪を作る)さえもらえればなんでもやる傭兵VTuberだからな……。
 えーっと開発会社は……Romero Games? 創業者John Romero? えっ? あのジョン・ロメロ【※】かい? ソソるじゃないか……。

※ジョン・ロメロ
ジョン・D・カーマックらと共にid Softwareを設立し、『Doom』や『Quake』『Wolfenstein』のゲームデザインを手がけたFPSの生みの親。

文/マシーナリーとも子


ケンカで金を稼ぎ、稼いだ金で投資してもっと金を稼ごう

 というわけでゲームスタート。まずはプレイヤーの分身となる「ボス」をセレクトする。ちなみに試遊はPS4版で行っているので、もしかしたら多少Switch版と異なるところもあるかもしれないがあしからず。

プレイヤー選択画面。なんせ14人もいるのでけっこう迷う。

 どうやらボスごとにユニークスキルや組織の得意なことなどが異なるようだ。その中にはかの有名なアル・カポネもいる。うわー! 知ってる! アルカトラズ! アルカトラズだろ! それしか知らない。
 ほかにも数名実在の人物が混じっているようだが私は詳しくないのでわかりませんでした。カポネにも惹かれるものがあるが、ここはゲーマーらしくスキルで選んでみることにするぜ!

口から毒ガスを噴射するメキシコの肝っ玉母ちゃん

 チョイスしたのはメキシコから来た赤いおばあちゃん、エルヴィラ・デュアーテ

 「なんでカッコいいオッサンでもキレイな姉ちゃんでもなくバアさんを!?」と思われるかもしれないが、キメ手になったのはボスアビリティの「悪魔の吐息」だ。なんでも敵キャラを洗脳して味方にできるうえに、そいつは毎ターンごと毒ダメージを食らって最後には死ぬらしい。最強じゃん。禁酒法時代のばあちゃんってそんな強かったんだな。
 私は『スカイリム』でも旅立った途端に死霊術を学んでネクロマンサーごっこをして遊んだし、仲間同士で潰し合うのを安全なところから見るのが大好き。初プレイはこいつでキメよう。

おもむろに近所のバーに近づくエルヴィラ婆。なにをするつもりだ

 さあここからなかなかボリュームあるチュートリアルが始まる。なにせこのゲームはアクションゲームでもFPSでもなくまあまあ複雑なシミュレーションゲームなんだ。なので割と覚えることがあるっぽい。

言われるがままにボタン押してたら婆さんが一人っきりでギャングの巣窟に飛び込んだ。無敵か?

 と思ったら敵マフィアが所持する酒場に単身突撃するエルヴィラ婆さん。こ、このババア血の気が多すぎる……! メキシコから亡命してきたらしいんだけど、ついてきた部下とかいないのかよ。

柱や壁の裏に隠れると敵からの命中率が下がるので、コソコソ隠れながら撃つべし

 本作の戦闘システムはターン制ストラテジー……というらしい。こういう、マップ上でユニットをチェスみたいに動かして攻撃したりするヤツ。「これ系のゲームあるけどなんて呼ぶんだっけ」って迷ったのでググって調べました。アレです。なんかその……『バトルロボット烈伝』みたいなシステムです。伝わらねえか。

 基本的にすべてのキャラクターにアクションポイントが2割り振られており、それを用いて移動したり銃を撃ったりスキルを使ったりリロードしたりして敵を全滅させれば勝ち。
 戦闘には「カバー」の概念があり、壁や柱の裏に隠れることで被弾率を大きく下げることができるので、自分の射線を通しつつ敵からは撃たれにくい場所を確保するのが肝。『エーペックスレジェンズ』と同じだな。強位置を探せッッ

制圧した建物では商売を始められる。スタッフはどこからともなく湧いてくる。ふしぎだね

 カチ込んだ施設のワルどもを全員殺せば施設を乗っ取り、自らの収入源とすることができる。ほかにも空きビルを購入することで自分の施設を増やすこともできるが、当然序盤はそんな金は無い。そのため、ひたすらカチコミを繰り返しては奪取を繰り返すという死ぬほどガラの悪い展開が繰り広げられる。やってることがギャングというより不良っぽい!!!

 敵対施設には他組織が運営している施設とモブ暴漢が占拠している施設があり、後者の方が攻略は簡単だがモブ暴漢はただ住んでいるだけなので改装にお金がかかる。他組織の施設は、護衛が強力で攻略は難しいが、例えばカジノを攻め落とした際は、カジノとして運営するなら看板だけ変えてノーコストで経営を始められたりとメリット/デメリットが存在する。

 占拠した施設は商売を始められるほか、ぶち壊したり家探しして荒らしたりなども可能。

警備を強化しないと速攻でほかの奴らに奪われるのでとりあえずパワーアップさせておきたい

 手に入れた施設には好きな名前がつけられるので、池袋の飲み屋の名前を勝手につけてみた。池袋には昼から飲める店がたくさんあるんだぜ。
 ほかにも醸造所に近所の酒屋の名前をつけてみたり、カジノによく行くゲーセンの名前をつけてみたりしたんだけど、冷静に考えたら不名誉で迷惑な気がするので記事に出すのはやめておきます。

 各施設は金を払うことで警備や施設の質をアップさせることも可能。こうして金を儲けるのだ。ただし、評判を上げすぎると警察に摘発されるリスクも高まるっぽい。そういうときは警察に賄賂を渡してなんとかするのだ。

 基本は醸造所で酒を作り、酒場やカジノ、下宿に流通させて金を稼ぐのが王道っぽい。

なぜかホテルには周囲の用心棒やら殺し屋やらとワルどもばかりが泊まる。この街にはマトモなヤツぁいないのか?

 作れる物件のうち、ホテルだけは直接的に収入を生み出したり、警備をパワーアップさせたりはできない。だが周辺地域にバフをかけることができるのでまあまあ重要っぽい。建てると、なぜか雇用可能な殺し屋、用心棒などからのレビューが届くのが笑える。じゃらんか?

チュートリアルで部下になるトミーとマリア。ダラダラ側近として連れ回してるといつのまにかふたりで付き合い始めたりする。私の見てないとこでなにやってんだ?

 ほかにもギャングに金を払って構成員として雇ったり……。

思ってもないキレッキレの返しをしてくれるエルヴィラ婆。この文句を言うためだけにバイリンガルになりたくなってきたな

 弱小マフィアにケンカを売ったりといったところでとりあえずのチュートリアルが終了。ようするに「ケンカで金を稼ぎ、稼いだ金でもっと金が稼げるように投資するゲーム」ってことだな。理解した理解した。じゃああとは好きにやらせてもらうぜ。

チュートリアルに付き合ってくれる謎の男。ラスボスかもしれん

冷たい土の中で気づいた! ギャングの鉄則

多数のハゲたモブ暴漢が巣くう廃墟。全員始末すれば商売を始められる。心情的には別に鉄砲玉として雇ったりしてもいいんだけど、システム上倒すしかないから仕方がないね

 側近をふたり雇ったのでガンガン近所の施設になだれ込み、モブ暴漢を射殺して商売の規模を広げていくエルヴィラ婆。お年を召している割にほかのキャラに比べやたら体力に優れ、射撃の腕も一流と異常に戦闘力が高く、完全に戦闘力の要となってしまっている。マフィアのボスなのに常に最前線にいる元気ババアになってしまった。

 ほんとは拠点に待機させておいて血なまぐさいことは部下に任せ、優雅に酒場に投資したりほかのボスと交渉しているほうがギャング・ボス・ババアロールプレイとしては楽しいと思うんだけどこればかりは仕方ない。あまりにもエルヴィラ婆は強すぎる。ネオ・ジオンのシャアばりに前線にバリバリ出てもらうことにする。

「悪魔の吐息」はほぼ必中で雑魚を味方にできるスゴ技。実質即死技みたいなものでものすごく強い。移動距離も長い

 エルヴィラ婆をプレイヤーキャラに選ぶ要因となった「悪魔の吐息」だがコイツがべらぼうに強い。敵ひとりを洗脳するということはこちらの戦力が増えるというだけでなく、相手の戦力が減るということでもある。このゲームの戦闘はだいたい敵味方あわせて10人前後で行われるので、ここでプラス1マイナス1されるのは非常に大きい。命中率もかなり高く、ボスキャラ相手でなければほぼ確定でキマる。もしかして強キャラだったのかなこのババア。

初月から給料の支払いが滞ってしまった。恥ずかしいよ

 そんな感じで調子に乗って物件を増やしまくっていたら、「物件の維持費はかかるのに儲けがぜんぜん出てない」状態となりスカンピンに。部下への給料支払が滞ってしまった。やばいやばい、転職されちゃうしSNSに悪評を書かれて炎上してしまう! 違うんだもうすぐ金は払うから!

かなりケンカっぱやい協勝堂。このあとも宿命の敵として常にバチバチやることになった

  慌ててたらチャイナタウンから中国マフィアの協勝堂がケンカを売ってきた。いまそれどころじゃないんだけど?

やたらこまめに連絡してくる協勝堂。電話でやりとりしてるんだろうか。仲良しか?

 タイミング悪くて腹が立つので、文句をつけてくるたびに「クソくらえ!」することにした。ところでこのゲーム、翻訳はけっこういいですね。日本語として不自然さが無い、それでいて汚い語彙がいろいろ見られる。

 やたらケンカを売ってくる協勝堂がムカつくな〜と他組織との外交画面を眺めていたところ「宣戦布告」なるコマンドを発見。これを選択すると牽制のやり合いは終わり、正式に互いの組織で殺し合う「戦争」が始められるようだ。なので速攻でツブしてやることにした。

早く消したい気持ちが私に開戦を決意させた
開戦すると頻発するモブ同士の戦闘。拠点にネームド部下を配置しておくと強力だが序盤は手が足りない……

 そんなわけで各地で我らがエルヴィラ婆率いる「ロス・ルセロス」と「協勝堂」の小競り合いが始まる。このゲーム、敵組織はガンガンモブキャラを遠隔指示してこっちの施設に襲いかかってくるんだが、こっちはネームドキャラにしか指示を出せないので攻められるとけっこうツラい。
 施設には護衛のモブキャラもいるんだけど非常に弱く、数で上回られるとまず勝てないのでキツい。そうか、施設の数を増やすよりもまずある程度手持ちの施設を盤石にしておくことが先決だったのか……? 維持費もかかるから運営施設を悪戯に増やすと財布が空になって部下に給料も払えなくなる……。成長戦略はもっと堅実に行かないとダメだったか。

相手を潰せる見立てもないし、マジで利益がないなこの戦争……と思ってたところに休戦の申し出が来た。お互い疲れたよな、サイモン

 そしてモブキャラ同士でダラダラと延々続く小競り合い。これは、これは辛い。なにが辛いって襲いかかられた施設を命からがら防衛したとしても、マイナスがゼロになるだけで得るものが無いのだ。ただただ徒労だけが募る。あとモブキャラ同士の戦闘って命中率が50%を切ることが多くて時間がかかる。チクショウ、こんな争いはウンザリだ! イライラするとともにこのとき、私は一種の気づきを得つつあった……。

 そんなとき、協勝堂から休戦依頼が発せられる。疲れているのは私だけじゃない。敵もそうだったのだ。

敵トップとの交渉場面。ほかにも「あの組織とケンカをするのはやめてくれ」と持ちかけられたりいろんなパターンがある

 そうだ、こんな小さな組織同士で潰し合ってもいいことなんて無い。休戦協定を結ぼう。互いに身の程を知って、ネチネチやっていこうじゃないか。いまここに、ロス・ルセロスと協勝堂の休戦が宣言されたのだ。

「攻撃されたら嫌なのはいつですか?」「今です」油断したなサイモン

 ……なんて言うと思ったかボケッッッ! 誰が休戦なんかするか! お前が居なくなればすべては解決するんじゃい!とボスのサイ・ウィン・モックが眠るセーフハウスにエルヴィラ婆さん自ら突撃! 敵は休戦協定を結んだと思って安心しきっている! 文字通り寝首をかいてやるぜ!!!

 あっ あっ 本拠地の護衛つよい

〜完〜


ケンカはマフィアのやることじゃない

 エルヴィラ婆はチャイニーズの本拠地に自らカチ込んで死んだ……と思ったがそれは夢だったので大丈夫でした。畜生。あの野郎。だがこの経験は私に冷静になる機会を与えてくれた。

街をうろうろしていたら記者に話しかけられた。ここはボスらしくウィットの効いた返答を返してやろう

 例えばだ。過去触れてきたギャング/マフィアものの映画やマンガを思い出してみよう。ヤクザものだっていい。ボスが自らカチ込んだり、あるいはガンガン戦争を仕掛けて四六時中街で大暴れしたりするものだろうか?

 ……いや、いざ思い返してみると「けっこうそういう作品あったな……」ってなってしまったけど、理想とする姿は違うじゃん? デキるボスってのはよ、部下に仕事をさせながら自分はいい椅子に座ってウィスキーだかブランデーだかを吸いながらモコモコした猫をなでてるもんだ。

 ケンカはギャングの仕事じゃねえ!ブチャラティだって「この国のマフィアは目立つのを嫌う…」って言ってたもんな。あれはイタリアンマフィアでこっちはシカゴだけど。なのでここからは方針を変更。

・なるべく他組織との戦闘はしない
・金を稼いで地道に所持物件のレベルを上げる
・ネームドキャラの雇用を促進する
・クエストをクリアして報酬を得る

 という感じで慌てず騒がず堅実なギャングライフのプランを練ってみた。っていうかクエストはやりなさいよ。やるためにあるんだから。なんかクエストシカトしてひたすら領地を広げたり敵組織を潰すムーブしてた。そういうところがある。

なぜかエルヴィラ婆と気が合うサルティス。サスペンダーがおしゃれ

 シカゴに無数に存在する他組織とは、戦うだけでなく同盟を結ぶこともできる。単にケンカしないようにしとこうぜって協定を結んだりとか……。

戦争への協力や、敵対組織との和解を持ちかけられたときは代償として酒や金、施設を要求することも可能

 ほか勢力を協力して潰すということも可能。

直接儲け話を持ってきてくれることもある。ここは金を稼ぐために八方美人しておくか

 さらに商売まで持ちかけてくれたりする。サルティス、お前どんどんおいしい話を持ってきてくれていいヤツだな。引導を渡すのは最後にしてやる。

 そんなこんなして組織も軌道に乗ってきたある日、エルヴィラ側近軍団の誰かが金を盗むというクソバカイベントが発生。なんで!? お前ら、前金で3000ドルも払ったうえに毎週300ドルずつ払ってるんだぞ! この金食い虫やろうどもが! まだ足りねえか!

 金盗みイベントが発生すると容疑者とチクリ野郎一覧が表示され、犯人を当てれば石を抱かせてミシガン湖に沈めることができるようだ。

 ふたりから疑われてるクライド・マローンが怪しい! なによりこいつは先週雇ったばかりの若輩だ。てめえこのエルヴィラの財布から金を抜こうたいい度胸じゃねえかーッ!!

「ここまで一緒にやってきたのに…」とか抜かしてるけどこないだ雇ったばっかりなんだよな

 違った。クライド・マローン行っちゃった。先週雇ったばっかりだし前金で3000ドル払ったのにたいして仕事しないまま勝手に疑わられて去ってしまった。悔しい。なにがいけなかったんだ?

仲がいい組織とは商売や交渉のほか、暗殺や借金を頼むこともできる。楽しい

 3000ドル……3000ドル……と失意のままメニュー画面を適当に遷移させてると仲がいい組織に「誰かを殺せ」と依頼できるのを発見。これって……これってもしかして……。

暗殺対象にこないだ逃げやがった新入りが!消すぞ! そのほか敵組織のボスにけしかけることも可能

 あるーーー!! クライド・マローンあるーーーー!!!

 よし、クライド・マローンは私の3000ドルを奪いやがったしなにより濡れ衣を着せられたことで私を恨んでる可能性がある! それにヤツはなかなか強かった。敵に回ったら厄介だ。味方にならねえ野郎のことを心配せずに済む一番の方法はなんだ? このゲームから退席してもらうことだろう。

 頼んだぜ!

 と、思ったら失敗しやがった。「次はうまくいくといいな。」じゃないんだよ。そんなとっとこハム太郎のロコちゃんみたいな態度でいいのか。人の生き死にがかかってるんだぞ。ちゃんとやれ。

 諦めるな! もう1回行ってこい! 一刻も早く殺してきてくれ。殺されるかもしれないんだぞ。

 ダメだった。もういいよ。ほっとこう。

治安の悪いクエストが次々起こる楽しいシカゴ

 クエストもいろいろある。例えばある程度いっしょに働いて忠誠度が上がった構成員にクエストが発生することも。

 だがそこはギャング。なぜか大抵「昔ひどい目にあったヤツにあったから殺したいんだけど」というクエストばっかり発生します。スネにキズが無いヤツはいないのかよ。

 なんとスナイパーのグローバーを昔ひどい目に合わせた旧友が、いまはウチのカジノのオーナーをやっているらしい。どうするかはともかく、一度会わせてみることにした。

 は?

 バーン!

 シカゴは治安が悪いので一般市民も慣れたもの。突然カジノのオーナーが射殺されても動じたりしない。偉いね。

 クエストをクリアすると、ステータスが上がったりスキルが手に入るほか、大金が手に入ることも。なんか知らんが部下の旧友を殺したら5000ドルも手に入った。これだけあれば施設のグレードアップをしたり新しい部下を雇ったりできるのでだいぶ助かる。

 ボス本人にまつわるクエストや、部下のクエストのほかもっと細かい市井の人たちのクエストも多々ある。これは路地裏でガンをつけてくるチンピラに因縁をつけていくというまったくワクワク感のないクエスト。シカゴ、住みたくないねえ!

この街には殺す価値もないヤツが多すぎるぜ

 殺しても良かったがただのチンピラならウチの客でもある。お前は脅かすだけで生かしておいてやるよ。とくに金はもらえなかったけど脅迫が強くなった。こうしてコツコツと強請の技術を身に着けていくのもマフィアの大切な仕事のひとつだ。

なぜかデートに行くのに組織のボスについてきてほしいといいだすトミー。それだけ慕ってくれてるのかもしれないけど自分がクソバカなことを言っていることに気づいてほしい

 おもしろかったのはトミーとかいうチンピラ構成員のクエスト。ガールフレンドとデートがしたいが自らの酒癖が悪いのでついてきてほしいと抜かしやがる。マジか? 私、マフィアのボスなんだけどなんでそんなカアチャンみたいなことしなきゃならないんだ??? 友達に頼めよ。友達いないのか?

なぜかデートに行くのに組織のボスについてきてほしいといいだすトミー。それだけ慕ってくれてるのかもしれないけど自分がクソバカなことを言っていることに気づいてほしい

 まあ行くけど……クエスト報酬が欲しいから……。

 店に入るなり唇をウィスキーで濡らしたがるバカ。こいつマジか?

2秒に1度酒を飲みたがるトミー。それ自体もだめだけどいちいち判断を求めるな甘えん坊野郎

 なんで私はシカゴ中の市民が震えるマフィアのボスなのにこんなクロマティ高校みたいなやりとりに付き合わなきゃいけないんだ?

 結局、トミーが惚れた女は敵のハニートラップだった。殺せ!!!!!!

 まあなんだ、色々あるさ。この世の半分は女だし、別に男に惚れたっていい。今日は思う存分飲め。酒が忘れさせてくれることもあるさ。

 あ、クエスト報酬はくれよな。失恋したからって「一匹狼」とか習得してんじゃねえよ。まったく手間のかかるマンモーニだぜ! でもトミーに愛着は湧きました。

罪の帝国で豆苗を伸ばそう!

ようやく本拠地にどっかり座りながらの運営が可能になってきた。ごろつきチームの編成や、そこから生まれる人間関係も想像しながら遊ぶと楽しい

 部下もだいぶ増えたので自らはセーフハウスに居座り、部隊も数個に分割。狙われがちなカジノや醸造所にネームドキャラを配置したり、攻撃隊を組織して隣町に派遣したり……とかなり有機的に組織を運営できるようになり、かなり楽しくなってきたんだけどここらでそろそろこの原稿の締め切りがヤバいのでタイムアップ。まとめるか。

 このゲーム、「ギャング/マフィアとなって街を牛耳る」という目的ながら、なかなかのんびりと楽しめる作品と思ったね。なんだろう、ほかのことに例えると「豆苗」に近いかな。みんな豆苗って買ったことある? 豆苗はね、食べ終わっても水に浸しておくとまた伸びてくるんだよ。毎日少ぉ〜しずつ伸びて、10日くらいするとまた切り取って食べられるんだ。
 本作でじっくり施設や部下を育てたり、外交で他組織と取引した結果、少しずつチャリンチャリンと金が増えていく様子は伸びていく豆苗を思わせる。

本当のワルの仕事は血を流すことじゃない、市民から金を絞ることだとこのゲームは教えてくれた。ありがたいことです

 あと、先述したけど改めて「だからギャングやヤクザはみだりに争いをしないんだな……」とゲームを通して納得できたのは本当に良かった。ケンカ、マジで無益です。ヤクザは損して得とれとはよく言ったもんだね。隣接する組織を潰しにがんばるよりも、手をつないでいっしょに悪い商売をしたほうがよっぽど儲かるし、面倒じゃない。
 気に食わないやつがいたら、仲の良い組織に戦争してもらえばいいんだよ。自分の手を汚すこたあない。同盟を結んだ組織が他組織と戦争すると、「この施設に乗り込んでくれ!」と指示を出すこともできる。ある組織を協力して潰そうとした時、最初は部下を敵本拠地前に張り込ませつつ友好組織にも協力を依頼。友好組織の部隊が到着したら一緒に突入するぞ! と思っていたんだけどボケーと見てたら勝手に攻め込んでオワらせてしまった。すげえ。私何もせずに勝ってしまったぞ。笑っちゃった。

 頭のいいワルは自分で動かないんだよ。周りを操って自分はオイシイとこだけ頂くのさ。ケンカは鉄砲玉にやらせておけ。マフィアのボスの仕事は画を描くこと。それにゲームを通すことで自らの体験として理解できたのは収穫だったぜ。

「みんなでいっしょにゴールしようね」と味方組織ふたつをけしかけたら勝手に本拠地に突っ込んでオワらせてくれた。まあいいか

 今回はPS4でプレイさせてもらったけど、このちまちま自分の庭を整えていく感のあるゲーム性だとNintendo Switchで遊ぶのもオススメかもしれないな。寝る前にちょっとやるとか、仕事する前にちょっと気乗りしねえからSwitchのスリープ解除して少し遊ぶとか、ちょっとバッチイけどトイレに籠もりながらやるとか。

 特に敵組織と戦争状態になると街中で小さなモブ同士の争いが始まってちょっとダレるんだよな。そんなときプレイステーションで腰を据えて遊んでると「まあそれでも、ちょっと落ち着くまでやるか……」と付き合ってしまいがちなんだけど、やりながら「これがNintendo Switchだったらとりあえずスリープさせといてそのへんに投げとくのにな……」みたいな感覚はあった。まあそのへんはほかに並行して遊んでるゲームがいくつあるかとかでも変わるとは思うけどね。

 そんなわけでのんびり人を殺したり警察に賄賂を渡して自分の金が増えていくのを見ながら、当時禁止されてしまったウィスキーなんかをすすって遊ぶと歴史に対して優越感が湧くのでおすすめのゲームです。みんなも金を稼ぐなら自分の手は汚さないようにがんばろうね。それじゃあな。

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未来から来た殺人サイボーグだけど禁酒法時代のギャングのやり方に学んでみた。『エンパイア・オブ・シン』レビュー