ゲームに人間性を捧げた者どもが全力でオススメする、PS4 / PS5で遊べるインディーゲーム37選
最近、ふとしたキッカケで『風ノ旅ビト』というゲームを遊んだのだが……。
その美しくも儚い世界観と心揺さぶられる音楽、そして「人間の一生」を感じさせる(いや、比喩ではなく本当に!)ゲームデザインやステージ構成など、その完成度の高さに改めて圧倒されてしまった。

2012年に発売されたゲームながら、9年経ったいまでも、その面白さは全く色褪せていない。この”色褪せない”感じとは、いったいどこから来るのだろうか?
結論を先に述べさせてもらうならば、それはやはり「クリエイティブの純粋さ」「純度の高さ」のような部分にあると、個人的にはよく思うことがある。
そして、その「純度の高さ」というものは、制作者が文字通り「そのゲームに人生を捧げている」からこそ生まれるものでもあり、その言外に含まれる迫力のようなものが、インディーゲームというものの本質的な魅力のひとつではないかと思う。
制作予算が100億円を超える #AAA のゲームが溢れる一方で、なぜもうひとつの潮流として「インディーゲーム」というものが立ち上がってきたのか?
それはやはり、量的な凄さや面白さを誇るAAAのようなゲームのアンチテーゼとしての、量ではなく「質」や「密度」、あるいは「形」といったものが、改めて問い直されているからにほかならないだろう。
文/TAITAI、実存
※この記事は、インディーゲームをもっと応援したいソニー・インタラクティブエンタテインメントさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
多くの人に届けるのか、自分たちの作りたいものを作るのか
一般的に、メジャーな商業タイトルほど「多く売る」ことが義務づけられている。
ゲーム制作もビジネスだ。莫大な開発コストを回収しなければならないし、そのためにはいかに多くの人に届くものを作れるかを考えなければならない。
しかし、「多くの人に届ける」ということは、ときに“最大公約数的な判断”を迫られるということでもある。
特定の少人数よりも、より多くより分かりやすい形に。でもそれは、本当に突出した部分を削ってしまうことにもなりかねない。多種多様な人々の共通する面白さ、最大公約数的な面白さとは、一歩間違えると凡庸な「丸さ」にも行き着いてしまうからだ。
一方で、インディーゲームの魅力を語るとき、それはしばしば「トガッた」と形容されるものが多い。すなわち、斬新、ユニーク、独創的、奇抜、荒削り、攻めている、得体が知れない、好みが分かれる、刺さる人には刺さる……等々。
「トガッた」ゲームというものは、決して万人に受け入れられるものではないかもしれない。しかし一方では、ある特定の人々を信じがたいほどに魅了することがあるというのも確かだろう。


誰にでも楽しめるようにカドを削って丸く整えられた商業ゲームとは違って、インディーゲームはいびつなかたちをしているものも多い。しかし、いびつであるからこそ、心のひだに引っかかるのであり、ときにはその鋭利な先端が、心の奥底まで突き刺さることがあるのだ。
そのとき、人は打ち震える感動に襲われ、背筋にぼうっとした熱いものが走り、わけもわからず涙を流すのである。
かつて、「インディーゲーム」というジャンルは、そのように“トガッた”作品の宝庫だった。「自分たちの作りたいゲームを作る」「まだ誰も見たことのないゲームを作る」という野心に満ちた無名のクリエイターたちが、おのれの信じる面白さを世に問う場所だったわけだ。
自分にぴったりと「ハマる」ゲームを見つけるのが難しくなってしまったこのご時世
インディーゲームがムーブメントと化してから、はや10年。
Steamの統計を行う非公式サイトSteam Spyによれば、Steamでリリースされるゲームは、2013年ごろまで年間数100本程度だった。しかし、2020年にリリースされたゲーム数は10000本を超えているという。つまり、現在では毎日、少なくとも約27本もの新作ゲームが発売されていることになる。
もちろん、インディーゲーム市場がここまで大きく成長したのは喜ばしいことだ。しかしその一方で、本当に面白いゲームや、自分にぴったりとハマるゲームを見つけることは非常に難しくなってしまった。パッと見ではよくわからず、近寄りがたい雰囲気を放つトガッたゲームの多くは、日々大量に並ぶゲームカタログのなかに埋もれてしまう。


インディーゲーム自体の商業化も進み、「売れ線を狙うゲーム」や「どこかで見たことのあるゲーム」を目にする機会もだいぶ多くなった。
もちろん、そのようなゲームたちを非難するわけではない。われわれはもう大人だ。ゲームがビジネスと切っても切り離せないことぐらい、わかっている。よくできたゲームが売れるのはよいことだ。
それでも、それでもだ。
「インディーゲーム」であるのなら、せめて一片でも、鋭利な切っ先を携えていてほしい。なぜなら、われわれがインディーゲームに魅せられたのは、奇妙にトガッたその角度が、われわれのいびつな心のかたちにピッタリと重なり、あるいはズタズタに引き裂くような、強烈な経験が少なからずあったからだ。
そして叶うならば、より多くのゲーマーに、そんな自分にぴったりと「ハマる」作品を見つけてほしいっ……!
というわけで、PS4 / PS5で遊べるオススメのインディーゲームを特集したい
──と、ある日、そんな話でSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の担当者と話し合ってひとしきり盛り上がっていたところ、「プレイステーションとしても、インディーゲームをもっと盛り上げたいんですよね」というご相談を頂いた。

「そこまで言うなら、何か電ファミで特集のひとつでもやってください」

「あ、はい」
というわけで、ようやくここからが本題です。
今回、電ファミでは、SIEさんと協力の下、「プレイステーションで遊べるオススメのインディーゲーム特集」を展開してみたい。
具体的には、まずプレイステーションで遊べるオススメの作品をリストアップしたうえで、それぞれのタイトルについて「絶対遊んでほしい!と思っているライター、編集者」が、その作品について語ってみるというもの。
本企画を始めるにあたっては、まず「プレイステーションで遊ぶべきインディーゲームって何があったっけ?」という議論からスタートしたのだが、そもそも、それがちゃんとまとまってねぇ!ということで、おすすめリストの制作から着手してみた次第。これはこれで便利だと思うので、ぜひ参考にして頂ければ幸いだ。


ちなみに。
SIEさんと一緒にやる趣旨というか、最終的な目的という意味では、やっぱり「電ファミ単体ではできない」ことをやりたいから、というものがある。
ひとまずは、レビューを中心にした展開を数回やってみるところから始めてみる形だが、もし本企画の反響があれば、なかなか呼べないクリエイターを呼んでインタビューや対談を仕掛けてみるなど、良い意味で「プレイステーションの看板」を使った企画を展開していければなぁ……などとも思っている。
ので、インディーゲームをもっと盛り上げたい!という方は、ぜひ本企画への応援、ご意見をドシドシ寄せて頂ければと思う次第。
もちろん、「なんでプレイステーションだけなんだ! インディーゲームを特集するなら、SteamやNintendo Switchの作品も含めるべきだろ!」というご意見もあるかもしれないが、それは、はい。ごもっともです。
ただまぁ、なんでもそうだけれど、こういう企画は縁やタイミングみたいなものもあるので、今回はこういう流れでやっているものとして、ぜひご理解頂きたい。
というわけで、電ファミがオススメするプレイステーション インディーズ、記念すべき第一回目は、『The Gardens Between』のレビューから。この作品も、自信をもってオススメできる作品なので、ぜひご一読あれ。
タイトルリスト
※リスト自体は、特集の目次も兼ねて、順次アップデートもしていきたいと思っているので、「これがない」「あれを入れるべきだ」みたいな話があったら、Twitterなりで投稿してもらえれば幸いです。
※リストはアルファベット順、五十音順です。
- ABZÛ
- Bloodstained: Ritual of the Night(ブラッドステインド:リチュアル・オブ・ザ・ナイト)
- Celeste(セレステ)
- Cuphead(カップヘッド)
- Dead Cells
- Downwell(ダウンウェル)
- FIREWATCH(ファイアーウォッチ)
- Gorogoa(ゴロゴア)
- INSIDE
- Kingdom: Two Crowns(キングダム ツークラウンズ)
- LIMBO
- Maneater
- NO STRAIGHT ROADS(ノー・ストレート・ロード)
- Outer Wilds(アウターワイルズ)
- Return of the Obra Dinn(リターン・オブ・ザ・オブラ・ディン)
- Rez Infinite
- Salt and Sanctuary(ソルト アンド サンクチュアリ)
- Slay the Spire
- Spiritfarer(スピリットフェアラー)
- SUPERHOT VR
- The Gardens Between
- UNDERTALE(アンダーテイル)
- Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜
- VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)
- WILL: 素晴らしき世界
- 狼と香辛料VR
- 風ノ旅人
- クリプト・オブ・ネクロダンサー
- スターデューバレー
- テトリス エフェクト
- 天穂のサクナヒメ
- 東京クロノス
- ネバーエンディングナイトメア
- バウンド:王国の欠片
- フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと
- ベア・ナックルIV(Bare Knuckle IV)
- ホットライン マイアミ
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