クソゲー抱き合わせ、買いたたき… “大人の理不尽さ”知った「ファミコンショップ」の悲哀

 ゲームソフト所有本数3万本、約3000万円をゲームに捧げた芸人・フジタが、『ファミリーコンピュータ』のソフト=“ファミカセ”をさまざまな角度で切り取り、ピックアップ。第17回のテーマは、「クソゲー抱き合わせ、買いたたき…“大人の理不尽さ”知った「ファミコンショップ」の悲哀」。

■子どもにも容赦なし…難癖付けられ、辛酸をなめた「買いたたき」

「正直なところ、ファミコンショップには、あまりいい思い出がないです」というフジタ。「小学生当時は、行動範囲も限られるし、地元のファミコンショップしかソフトを手に入れられないから、そこに行くしかない。今はオークションや通販など手に入れる手段がたくさんあるし、SNSで悪評はすぐに広がる。でも当時はそれらがないうえに、子ども相手の商売。圧倒的に“店有利”の時代でした。僕は大人のずるさや理不尽さをファミコンショップで学びましたね」

 こう話すフジタが経験した「ファミコンショップの思い出」の1つ目は「買いたたき」。

 今、ショップにソフトを売ろうとすると、未成年であれば同意書などさまざまな書類や電話確認が必要だと思うのですが、80年代中期〜後期は、子どもがソフトだけ持って行っても買い取ってくれる時代でした。

 そんな時代でしたが、よく行っていた吉祥寺のマンションの一室にあるファミコンショップにヤバい店員がいました。その人は20代で金髪だったんですけど、相手が子どもだととにかく強気に出てくる。その店では、チラシに「高価買取」を謳い、同じチラシにそのソフトの相場が書いてあるのですが、平気でそれを無視して、難癖つけて、買いたたかれるんです。

「金額が低いのでやめる」というと、「売る気もないものもってくんな」って怒られて。一番記憶しているのは、くにおくんシリーズの『 #ダウンタウン 熱血物語』(1989年/テクノスジャパン)。当時3000円くらいが買い取り相場だったんですが、難癖付けられて1000円にされました。その金髪の店員以外のスタッフはいい人だったので、「金髪じゃありませんよーに」と祈ってマンションの扉を開けたことを思い出します。

■吉祥寺界隈の“抱き合わせ常連ソフト”とは?

 「抱き合わせ」は、人気ソフトと、人気のない過剰在庫のソフトをセットで販売する手法。『ドラクエシリーズ』など発売日と同時に完売し、その後品薄状態が続いたときに全国的に流行したので、皆さんのなかにも「いらねーよ」ってソフトを定価近い価格で買わされた経験がある人もいるかと思います。

 僕は、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(1987年/エニックス)を抱き合わせで買いました。世間的にはドラクエの抱き合わせ販売というと、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(1988年/エニックス)のイメージがある方も多いと思うのですが、私は、『ドラクエII』でした。当時兄が持っていたのにやらせてくれず、仕方ないので買いに行くと、『ルナーボール』(1985年/ポニーキャニオン)というビリヤードのソフトとの抱き合わせで買わされました。普通、“抱き合わせソフト”って、面白くない→売れ残る→抱き合わせに、という運命をたどると思うんですけど、『ルナーボール』はそこそこ面白かったのが救いでした。

 とはいえ、欲しいソフトといらないソフトをセットでトータル1万円弱は子供にとっては結構な額。強制的に買わせるのはどうかと思っていましたし、いまなら抗議もできますが、ショップのおっちゃんに「うちはこういうセットだから」って言われ、当時はそれが当たり前だったので、仕方なく受け入れていましたね。品薄だったこともあって、抱き合わせですら「特別に売ってあげる」みたいな感じでした。

 当時、地元の吉祥寺のファミコンショップでは、『ルナーボール』と、『ボコスカウォーズ』(1985年/アスキー)、『ダウボーイ』(1985年/ケムコ)、『頭頭脳戦艦ガル』(1985年/デイビーソフト)あたりが、抱き合わせの“常連”になっていました。僕の周りでは、人気ソフト1本に対し、他1本のセットが多かったですが、聞いた話では、3本、4本抱き合わせて売っているお店もあったみたいです。阿漕な商売ですよね。

 抱き合わせは、ファミコン全盛期にあまりにも横行していました過ぎたので、後半は禁止になりました。とはいえ抱き合わせがなくなっても、現代では人気ハードや、ソフトは定価の何倍の価格で売られている。結局形を変えているだけのような気がします。

■“限定”のはずが在庫余剰?希少性アピールでつかまされたあのソフト

 日本人って「限定」好きですよね。「限定」って言われると、欲しくないものも欲しくなる。当時、ファミコンでもそれがありました。

 本当に「限定」だったらいいんですけど、メーカーが「限定」をゴリ押ししていて、それにファミコン雑誌やファミコンショップも乗っかっていた印象です。現実、店員も「限定なので早めに予約を」と薦めてくるので、予約して買ってみると、店舗では在庫が店頭に並んでいる。全然余っているんですよ。店員に聞いてみると、「確かに限定って言われているし、僕もだまされたんですよ」ってうやむやにされる。子どもなのでそれ以上反論できなかったんですよね。『飛竜の拳』(1987年/カルチャーブレイン)はこのパターンでつかまされましたね。

 メーカーから雑誌、ショップまで、全部グルだっていいたいんですけど、今考えると何本限定か書いてないんですよね。もしかしたら“100万本限定”かもしれない。そうすると、特に嘘はついていないんですよね。子どもの浅い考えを見越して、うまくやられました。

 紹介した3つ以外にも、子どもだからと舐められて、新品なのに箱の角がつぶれていたり、あまり状態のよくないものを買わされたこともあります。ファミコンショップには、ホント、いい思い出はないんですが、この頃に大人の階段を昇るような、こうした経験ができたことは大きかったと思います。

 ちなみにここで紹介したいくつかのファミコンショップはすべて10年以上前に閉店し、今は駐輪場など有効活用されています。時代の流れもありますが、結局、お客さんを食いものにするのではなく、大事にしているお店が残っていくんだなと改めて思いました。

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クソゲー抱き合わせ、買いたたき… “大人の理不尽さ”知った「ファミコンショップ」の悲哀