「これって不倫?」年下男性に恋する主婦に賛否両論、マンガ作者語る“裏切り行為”の理由とは

夫がいるにもかかわらず、アルバイト先の年下男性に恋をしてしまった専業主婦の恋心をリアルに描いた『夫がいても誰かを好きになっていいですか?』(KADOKAWA刊)。「これは不倫なのか」論争をめぐって、ネットでは「気持ちだけなら構わない」「論外!」など、賛否両論の声が寄せられている。夫の転勤で大阪に引っ越してきた主人公は、友人も知人もいない土地で、夫は自分を家政婦のようにあつかい、孤独を感じていた。リアルな日々を描く“不倫物語”に、作者が込めた思いとは?
■不倫はダメ、なのに魅かれてしまう人間の本能
——主婦の不倫をテーマに作品を描こうと思ったきっかけを教えてください。
【ただっち】芸能人の不倫がメディアやSNSで叩かれ、大きな話題になっているなかで、出版社から「女性側が不倫をするという内容で描いてみてはどうか」と言われたことがきっかけでした。
——ネットでは、夫に後ろめたさを感じながらも、ときめきを抑えきれない主人公に対して、賛否両論巻き起こりました。
Amazonレビューでは、「あり」「なし」の評価がちょうど半々です。
【ただっち】連載を始める前、芸能人の不倫報道への世間の反応を見ていて、ほとんどの人が、不倫を絶対に許さないという気持ちなのだろうと思っていました。なので、主人公の行動を「あり」だと思っている人が同じくらいいたことに驚きましたね。
——先生もご結婚されていますが、ご自身は不倫に対してどのような考えをお持ちですか?
【ただっち】不倫は絶対にダメというイメージと、誰かを好きにならないようにしよう…と気をつける想いは常に頭の中にあります。なので本作では、結婚していても、相手との信頼関係や相手を思いやる気持ちがなかったら抑えがきかなくなる、という構成にしました。
——設定はどのように考えられたのですか?
【ただっち】できるだけ自分の状況と似ている設定を作って、リアルに描くことを意識しました。不倫相手を年下の大学院生にしたのも、私自身が今、大学院に通っていて、まわりに年下の男性がたくさんいるので、リアルなキャラクターを描けるかなと思ったからです。
恋愛感情に関しては、結婚しているしていないに関係なく、好きな人に出会ってしまい、惹かれていく感情を忠実に、また夫婦間では、夫との関係にモヤモヤするなど、妻なら誰もが抱くような気持ちをできるだけ入れることを意識しました。
■不倫のきっかけは、夫婦間のコミュニケーションロス?
——衝撃のラストシーンが大きな反響を呼びました。
【ただっち】タイトルにした『夫がいても誰かを好きになっていいですか?』という質問に対する、私の答えです。夫婦のその後をあえて描かなかったのも、あなたならどうしますか? という思いを込めました。
——結婚生活で、お互いの心が離れてしまわないようにするには?
【ただっち】相手に不満を持ったときに、ちゃんと伝えているかが大事だと思います。夫への不満をため込んでSNSで発信しても、かわいそうだねって共感してもらえるかもしれませんが、夫への憎悪はむしろ増える原因になってしまうでしょうね。そうなる前に、本人同士でちゃんと話し合ったほうがいいと思います。
——夫婦の心がすれ違っていると、魅かれた相手が現れたとき、主人公のように気持ちにブレーキを踏むことができなくなってしまうということですね。
【ただっち】ネットなどで不倫に悩んでいる人の投稿を見ると、まず、夫にこういうことをされたという前置きがあるんです。自分のしている不倫を正当化したい人や、自分が不倫に至ってしまった経緯に共感してほしい人がすごく多いと感じました。
ですから本作では、夫への不満やモヤモヤした時点で、まず話し合わないと、主人公夫婦のようにどんどんお互いが知らないところで事が進んでいくようになったりするよ、ということを伝えたいと思いました。主人公が、夫にキスをされて気持ち悪いと感じるシーンがあるのですが、そこまでいってしまったら夫婦関係を戻すのは大変ですからね。
——今後、主人公夫妻はどうなるのでしょうか。続編は?
【ただっち】描きたいとは思っています。けっこうドロドロした内容になると思いますけどね(笑)。