『Fall Guys』にはチーターだけが戦いに参加する「チーター島」があった。開発チームは島を閉鎖するまでのチーターとの戦いの記録を公開

 『Fall Guys: Ultimate Knockout』(以下、Fall Guys)には、かつてチーターだけを集めたマッチ「チーター島」が存在していたという。ゲームリリース時から慎重にデータを集め、100パーセント間違いないと判断されたチーターのみが集まる場所だ。

 開発チームは、チーター島で繰り広げられていると思われるゲームプレイ映像を公式Twitterアカウントで公開。チーターかどうかは「100パーセント確実ではない」と書かれてはいるが、少なくとも複数のプレイヤーがチートを使っているのは動画を見れば明らかだ。

 開発陣はその動画とともに、チーター島を削除するまでのチーターとの戦いの歴史を明かした。「もしかしたらドラマ化したがるかもしれないから」と、Netflixにリプライすら飛ばしている。転んでもただでは起きない、ジョーク好きな開発陣だ。

 開発陣によれば、ゲーム発売時から独自のチート検知システムは搭載されていたが、チーターを見つけ次第すぐにBANするのではなく、データを収集するために利用していたという(ツイートリンク)。100パーセント、チーターだと結論づけられない限り、開発チームはプレイヤーをBANしない方針だった。

 十分なデータが集まったのち「Fall Guys Cheater Island™」(チーター島)をこっそりとオープンした。ツイートによれば、「チーター島」はチーター同士がチーターの薄汚れた王冠を楽しく奪い合う魔法の場所だったそうだ。

 とはいえ、開始時点で検出システムはチーター島に対応しておらず、この島に流されるプレイヤーはひとりもいなかった。チーター島の人口はゼロ。開発チームは少しずつチーター検出の閾値を下げていき、より幅広いデータを集めていった。

(画像はSteam 『Fall Guys』ストアページより)

 検出の閾値について詳しくは説明されていないが、一定の基準を超えたプレイヤーはチーターとしてタグ付けされて監視下に入り、こっそりとチーター島に流される。ただし、チーターの多くは悪知恵が働く。もし見える形でチーターとタグ付けされたことが分かれば、フォーラムなどから一気に情報が広がり、さらなる対策を講じられることになると予想される。

 もともとこの閾値は寛容なレベルであり、チーターは検出されるが簡単にBANはしない。それはズルをするとゲームの面白さが失われてしまうことに気づいて欲しかったからだという開発者の願いもあった。しかし期待は裏切られ、ほとんどのユーザーはチートを使い続けたそうだ。

 開発チームは多くの人を楽しませたいが、犠牲を出すことはよしとしない。そして、チーター検出の閾値はますます下がっていった。

 閾値が下がるにつれ、チーター島に流されるプレイヤーは増えていった。チーター島のサーバーは独自のものであり、マッチを開始するには40人のプレイヤーが必要だ。少なくとも、チーターがプレイしている地域にそれだけのチーターがいなければマッチは始まらない。

 ゆえにチーターが十分にいなければ、チーターは「永遠に落ち続ける」のだ。同様のことを引き起こすバグは存在していたが、「永遠に落ち続ける」という不具合に出会ったプレイヤーのほとんどはチーターだという。だが、それをチートのせいだと簡単に公表するのは良くない。前述の通りチーターに情報を渡すということは、それだけチーターを有利にすることになる。彼らはあらゆる情報を駆使して不正を続けるからだ

 長い間、チーター島でゲームが始まることはなかった。閾値を下げても必要な数のチーターはあつまらなかったからだ。チーターは落下し続け、ゲームが壊れたという情報を吐き出し続ける。

 このころチーターは、チーターではないフレンドと一緒に遊べば落下せず遊べることに気づいた。また、Steamファミリーシェアリングという機能を使えばチート検出から逃れられることも広まった。ファミリーシェアリングとは、簡単に説明するとほかのアカウントに自分のゲームを貸し出すようなシステムだ。

 これらの抜け道を使い、チーターはチーター島を脱出していく。全員がそれに気づく前に開発チームはパッチで修正し、ファミリーシェアリングを無効化した。チーターは本当によく悪知恵が働くのだ。

 ファミリーシェアリングがチートの検出を回避すること、そしてそのためにファミリーシェアリングが無効になったことは話題となり、海外メディアRock Paper Shotgunなど複数のメディアがそれを報じている。

 この間ずっと、開発チームは誤検出を防ぐためにチーター検出の閾値を上げ続けていた。そのため、その時点でチーターフラグがつけられたプレイヤーは100パーセント、チーターであると確信していたという。

 そして先週、ついにチーター島で初めての対戦が発生した。チーターたちの重力を無視したバトルは上記の通りだ。ただし、前述の通り「100パーセント(チーターであるかどうかは)確実ではない」としている。たしかにチートを使わなくても物理演算の暴走で空高く飛び上がることもあるし、ゴール近くにワープするバグも存在している。

 動画の出所は明かされていないが、動画の言語が異なるため、こちらはおそらくユーザーが投稿したビデオだ。そのため、これがチーター島で行われたのか、あるいは通常のサーバーにチーターが紛れ込んでいたのか分からない。チート島での記録は独立して残っていないのかもしれない。

 チーター島で対戦が行われていることは分かっているが、ビデオがそれを示しているかどうかは完全に確信できない。上記の動画ではチーターに混ざり、チートを使っていないように見えるプレイヤーが確認できる。

 そのため、ついにチームは島を閉鎖することにしたという。その代わり、チーターはゲームにログインできなくした。

(画像はSteam『Fall Guys』より)

 開発チームにとって、『Fall Guys』でチート行為を行うプレイヤーの多さは予想外だったという。初期の楽観的なチート対策を見ても分かるとおり、プレイヤーに「正直さ」を求めるシステムを構築していた。しかし、最終的にはEpic Gamesの助けを借り、Easy Anti-Cheatと呼ばれるプログラムが実装されることになった(ツイートリンク)。

 チートを使ってもゲームが遊べる、ある意味寛大な処置から大きく方向を転換したのは9月に入ってからだ。『Fall Guys』のサーバー運営チームが独自のTwitterアカウントを開設し、9月9日に初めて「1535人をBANした」と発表。

 その後も複数にわたってBAN実績を報告し、9月11日には初日を超える2100人以上のチーターをBANしたことが報告された。9月11日の時点で約5000人のチーターが排除された計算になる。

 それまでいくどもチート対策を強化することは発表していたものの、具体的な結果はほとんど見えてこなかった。チートとの戦いは情報戦のため、秘密裏に行われていたというのも理由のひとつだろう。

 しかし具体例を示していかなければ、善良なプレイヤーは開発チームがチーターの何を対策しているかわかりにくいのもまた間違いない。『Call of Duty: Warzone』などがチーターのBAN数を発表するのは、チーターへの警告と一般プレイヤーへの実績報告のためという側面もある。

 チーター同士の戦いはみる分には笑えるが、残念ながらチート対策とは言いがたい。チーターに対しては楽しく警告するのではなく、毅然とした態度で挑むことが求められている。そして、ついに『Fall Guys』開発チームはチーターに学んでもらうチート対策から、問答無用でBANするチート対策へと舵を切った。
 その裏には「話せば分かるはず」と考えていた開発チームのチーターへの認識に変化があったことは間違いない。

『Fall Guys』公式サイトはこちら

ライター/古嶋誉幸

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