“レンタル彼女”を借りる主人公は「一途なドリーマー」原作者も「彼女、お借りします」で考える恋愛の本質

 「レンタル彼女」を題材にした漫画原作のアニメ「彼女、お借りします」が7月の放送開始から注目を集めている。冴えない大学生・木ノ下和也が、フラれたことをきっかけにレンタル彼女を利用したところ、やってきたのは容姿も立ち居振る舞いも完璧な水原千鶴。気晴らしで頼んだつもりが、勢い余ってついたウソのせいで、あんなことやこんなことに…。原作の漫画家・宮島礼吏氏によれば、主人公・和也はただのうだつの上がらない大学生に見えるものの「思い切りがいい。結構なドリーマー」と憧れる部分もあるという。どこまでも真っすぐな和也の魅力は、いったいどこにあるのか。


 ストーリーが始まって早々、いきなりフラれる和也。たった1カ月で元カノ・七海麻美から「他に好きな人ができた」と告げられ、家で悶々とする中、ふと目に入り利用したのがレンタル彼女だった。やってきた千鶴を、両親・祖母にうっかりと本物の彼女と紹介し、その勢いは止まらず、友人にも紹介。早々に「しでかしまくり」だ。

 宮島礼吏氏(以下、宮島氏)

 和也のキャラ像は、中国のネットニュースに出てきた人そのものです(笑)中国では旧正月に、親に紹介するために、彼女をレンタルするようなことが多いようで。それを和也もするんですが、僕にはそこまで勇気がないですよ(苦笑)すぐにバレちゃってもアレだし、そもそも彼女がいないって正直に言った方が楽じゃないですか。それでも、おばあちゃんが泣いて会いたいと言ったら、また水原を借りて連れて行っちゃう。思い切っているなあというか、多少憧れちゃうところもあるんですよね。

 寂しさを埋めるために借りた彼女で両親、祖母を喜ばせようとする一方、たった1カ月でフラれた元カノ・麻美には未練タラタラ。そしてまた千鶴を借りる。そんなフラフラ状態にファンも「許せる派・許せない派」が真っ二つに分かれるが、過去作でも男女の恋愛を描いてきた宮島氏にとっては、とても「気持ちがわかる」存在でもある。

 宮島氏

 ピュアなんですよね。夢見がちで一途なだけなんですよ。こっぴどくフラれて、しかも「他に好きな人できちゃった」と笑顔で言われてるのに、それでもワンチャン、ヨリを戻せると思っているあたりがドリーマーなんです。普通だったら無理だと思うじゃないですか。だけど、付き合っていた当時のことはほとんど描かれていないけど、そこには麻美との絆もあるわけで。最初に水原を借りた時は、ただお金を払っているレンタル彼女だし、彼にとってはたった1カ月であっても、非常に濃厚な時間だった。だからやっぱり麻美のことは、すごく大事に思っているんですよ。

 大好きだった麻美との関係が終わると、今度は千鶴、さらには超積極的な妹系アイドル彼女・更科瑠夏、人見知りだけど健気ながんばり屋の彼女・桜沢墨という女性たちと、少しずつ距離が近づいていく。読者、視聴者からすれば「和也の成長物語」にも見えるが、根っこの部分は変わっていないという。

 宮島氏

 和也を成長させている感覚は、あんまりないんですよ。ものすごくピュアなだけで、麻美のことが大好きだった時と同じように、一緒にいる時間が増えた人、大切な人が移り変わっていく感覚です。それは最初に麻美に注いでいた力と同じものだと思います。

 接する女性たちに一生懸命尽くし貢ぐ姿は、熱狂的なアイドルファン、通称「ドルヲタ」にも通ずるところがある。

 宮島氏

 「彼女、お借りします」自体、ドルヲタの話だとも思ってるんです。一般男性が、夢に向けて頑張っているアイドルのグッズを買うのと同じで、他に夢があるレンタル彼女を“借りる”ことで支えていこうとしている。アイドルものの作品を描いているのと、割と同じ心境になることもありますね。

 過去にはアイドルと恋愛がテーマの作品も手掛けただけに、恋愛についての研究も深いと思われたが、考えるほど難しいという。

 宮島氏

 恋愛って感情はすごく難しくて、僕も正直なところ、いまいちわかってないんです。すごく付き合いたい!っていう思いとかは、わかるんですけどね(笑)だから、そういう気持ちが恋なんだろうと思って描いてはいます。でも何が恋なのかっていうのは、探しながら描いている気はしますね。作品にも出てきますが、レンタルから始まっても、それは真実の恋なのかとか、どうやって描いたらそうなるのかとか。自分も一緒に見つけていっている感じです。

 非モテキャラの代表にも思われた和也が、その一途さを貫いたことで周囲もその魅力に惹かれ始める「彼女、お借りします」。恋愛に自信がないと思う人でも勇気がもらえる、そんな作品だ。
(C) 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

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“レンタル彼女”を借りる主人公は「一途なドリーマー」原作者も「彼女、お借りします」で考える恋愛の本質