制服ギャルの“私服バレ”に「温かい気持ちをもらった」と反響 「好きな気持ちを尊重する関係を描きたい」作者の想い

 漫画家・岡野く仔さんがTwitterに投稿した「街で偶然会った友だちの私服が、それぞれ意外だった」の記事が、31万以上のいいねが付くなど話題を呼んでいる。学校ではギャルとして過ごす2人、ところが私服は着物とロリータだった、というギャップを描いた本作。友だちの“好き”な気持ちを認め合うその後の展開に、「理想の友だち!」といった反響の声が集まっている。ポップな絵柄とストーリーに、現代の高校生の繊細な人間関係も盛り込んだ本作。どんな想いを込めたのか、岡野さんに話を聞いた。
■ロリータ&着物、真逆の趣味を認め合う友だち
──『着物ちゃんとロリータちゃん』と題したイラストが話題です。着想のきっかけは?
【岡野く仔】最初は、ギャルが私服でこっそり着物やロリータを着てたら…という、ギャップの面白さから絵を描いて投稿していました。その後、Twitterで反響を受けて、2人の設定やストーリーを深めていった感じです。とくに「高校でこんな友だちが欲しかった」というコメントには、私自身も共感しました。
──なぜモチーフを「着物」と「ロリータ」にしたのでしょうか?
【岡野く仔】実は私、2年ほど前から着物を普段着にしているんですが、着物人口が少ないんですよね。だから、「着物を着てお出かけしたいけど、周りの目が気になる」という方は多くて…、私も最初はそうでした。大人になっても人の目は気になりますが、学生の悩みはもっと深いですよね。学校という狭い世界で大半の時間を過ごしているわけですから。
──本作を描きながら、ご自身の学生時代を思い出されましたか?
【岡野く仔】中学の時にロリータに憧れて、こっそり通販で買ったことがあったんです。田舎町には売ってるお店がなかったし、買ったこともバレたくありませんでした。そういう格好をしていることが周りにバレたら、絶対に迫害されると思って、1人でこっそりお出かけしていました。
──バレたら迫害ですか…。ロリータ姿で外出したときのお気持ちは?
【岡野く仔】本当に決意がいることでした。外を歩いてても、誰かに見つかるんじゃないかとずっとドキドキして…。でも、ヒラヒラのスカートが視界に入るたびに、すごくうれしかったんです。「私、ロリータを着てるんだ!」って。そして、この気持ちを誰かと共有できたらもっとうれしいんだろうな、とも思ってました。
──ロリータ友だちはできなかったのですか?
【岡野く仔】うちは田舎ですし、当時はSNSなどもなかったので、ぜんぜん同じ趣味の子とは出会えなかったです。また、学校も同調圧力が強く、少しでも「右へならえ」ができない人間が排除される雰囲気がありました。私も学生時代は、ずっとオタク趣味を隠して過ごしていたんです。
■学校の友だちには「好きなもの」を明かせない?現代女子高生の悩み
──主人公の2人は、学校ではギャルとして過ごしています。この設定は?
【岡野く仔】ギャルはスクールカーストの上位。学校では強者の位置にいるので、ギャルとしてギャルの友だちグループと一緒にいたほうが絶対に得なんです。
──自己防衛のために“ギャルの鎧”を着ているということでしょうか?
【岡野く仔】そうですね。学校という狭い世界では、「少しでも弱みを見せたら負け」みたいなところがあると思います。私も中学時代は「陰キャ認定」を恐れて、オタクバレをしないためにウソをついたことがありました。
──どんなウソを?
【岡野く仔】本当にお恥ずかしい話なんですが、あるオタク全開な同級生のことを、ほかの子と一緒に「痛いよね」と言ってしまったんです。本当は自分もオタクなのに…。
──自分がオタクであることをカミングアウトできない空気があったと。
【岡野く仔】今でもそうですが、私は本当に小心者で弱い人間なので…。でもその後、その子と友だちになったんですよ。高校を卒業した後に再会して、その頃には私もオタク趣味を隠さないようになっていたので、どんどん仲良くなっていって、今では一番の親友です。中学生当時のことも、「あんなこと言って本当にごめん」と謝りました。
──本当の「好き」を明かすことで、分かり合える仲になれた。『着物ちゃんとロリータちゃん』にも通じるメッセージですね。
【岡野く仔】はい。学生さんは無理して学校でカミングアウトする必要はないと思いますけど、きっと趣味を理解し合える人は、いつか必ず現れます。SNSも、暗い面ばかりクローズアップされますが、気をつけて活用すればいいと思いますし、趣味を全開に楽しい毎日を送っていただきたいです。
──『着物ちゃんとロリータちゃん』の今後の展開も気になります。
【岡野く仔】実は、反響をいただいたおかげで、まんだらけさんで書籍化させていただくことが決定したんです。今は、週1回ペースで新作をアップしています。
■作者語る「ファッション=生き様」への想い
──『着物ちゃんとロリータちゃん』の2人はどんな関係になっていくのでしょうか?
【岡野く仔】2人ともお互いを“最押し”なんですよ。いつも「可愛い〜」と言い合っていて、だけど着物ちゃんはちょっとツンデレが入ってるので、さらっとは言えないんですけどね(笑)。そんな2人の関係性をさらに掘り下げつつ、それぞれの趣味をミックスして楽しんだりする様子を描いていきたいです。
──すでにアップされている漫画でも、和洋ミックスのファッションがめちゃくちゃ可愛く描かれています。
【岡野く仔】実は、先ほど話した親友が、最近着物に興味を持ってくれているんです。上は着物、下はスカートという和洋ミックスのコーディネートで、一緒に歩いてくれました。それが本当にうれしくて、格好もすっごく可愛いかったので、参考にさせてもらってます(笑)。
──人気漫画『ロリータ飯』(KADOKAWA)のほうも、Twitterやpixivで続編をアップされていますね。
【岡野く仔】はい。書籍の第1巻でまとめた時点では、なつ子とふゆ弥は友だち以上恋人未満の関係で終わっています。なつ子がロリータである自分と付き合ったら、ふゆ弥に迷惑をかけてしまうんじゃないか…と遠慮してしまう内容でした。
──同作でも「ロリータの苦悩」が描かれています。だけど理解者は必ずいると。
【岡野く仔】はい。そして今、描いてる第2部では、ふゆ弥の元カノが登場しています。これまでは、ふゆ弥がなつ子と付き合いたくて頑張ってきましたが、今度はなつ子が頑張る番。ロリータでもご飯でも、そしてふゆ弥でも、本当に好きなものを大切にする気持ちを描いていって、こちらもいつか第2巻にまとめられたらと思っています。
(文/児玉澄子)

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