題材は「レンタル彼女」!話題の漫画「彼女、お借りします」 アニメ化でさらに注目 原作者が実際に借りた“彼女”との偶然

 2017年7月の連載開始から3年。「レンタル彼女」という特徴的な題材が話題にもなり、今年7月からはアニメもスタートしたのが「彼女、お借りします」だ。週刊少年マガジン(講談社)に連載中で、漫画家・宮島礼吏氏が描く主人公・木ノ下和也と、レンタル彼女・水原千鶴ら女性キャラクターの関係性が、ファンに様々な印象を与え続けている。中国でのレンタル彼女事情を知り、自らも借りて取材し作品に活かした宮島氏に、作品に対する思いを聞いた。


 「レンタル彼女」。レンタカー、レンタルDVDなどと同様に“彼女を借りる”サービスだ。時間あたりの金額が設定され、その間は借り主の男性に対して、彼女としてともに時間を過ごしてくれる。ただし性的なサービスはなし。プラトニックな疑似恋愛、とでも言うべきか。それでもデート気分を味わいたい男性も数多い。日本でも知られるようになったこのサービスだが、宮島氏が興味を持ったのは中国のネットニュースからだった。

 宮島礼吏氏(以下、宮島氏)

 ラブコメを描きたいというのは決まっていました。そんな時、中国のネットニュースで「旧正月で彼女をレンタルする人がいる」というニュースを見たんです。どうやら日本より「早く嫁を連れてこい」の圧力がすごいらしいんですよね。調べたら中国にもレンタル彼女らしき職業があって、借りて、親の元に連れて行くらしいんです。それがとても面白くって(笑)。たしかに「何してんだ」とも思うし、その場しのぎのウソなんだけど、でもすごくそれがかわいいなと思ったんです。

 実際、原作・アニメともに序盤から、主人公・和也が両親、祖母の前で勢いとはいえ、レンタルした千鶴を紹介するシーンがある。これもまた、家族を喜ばせたい・安心させたいという思いがあってのことだ。

 宮島氏

 その中国のニュースを見て、和也というキャラクターの方針は決まりましたね。基本的には親を喜ばせようとしているという点で、正義は彼なりにもあったわけですから。

 漫画を描くには取材も必要だ。宮島氏は漫画の第1話を描いたあたりで、今後の作品に活かそうと実際に“彼女をレンタル”してみた。

 宮島氏

 取材がしやすいかなと、会った時に「漫画家です」ということも伝えたんです。連載の話もしたら「あー、そうなんだ」と。まだ実際には連載が始まる前だったから、向こうも本当に漫画家なのか、連載は始まるのかって感じでしたけどね(笑)。しばらくしてから、また同じ方を借りたんです。「ああ、本当に言ってたやつが始まってる!」って言ってました。最初に会った時から結構時間も経っていたので、懐かしい感じもありました。

 作品の中で、千鶴は完璧までに彼女を演じきる。宮島氏が会ったその“レンタル彼女”も、しっかりと“彼女”をしていた。必要以上にスキンシップを取るわけでもなく、さりげない仕草や気配りが、いかにも彼女っぽい。

 宮島氏

 たとえばサラダを取り分けてくれるとか、そういうことです(笑)。具体的に何かがすごいっていうわけじゃなく、でもさりげなくいろいろな話を振ってくれたり。お客さんによって、いろいろ変えてもいるんでしょうが、僕とも本当の彼女のように、フランクにしゃべってくれていましたね。

 これは後にわかった偶然だが、その方と千鶴には、レンタル彼女以外に共通点があった。何か他の夢のためにバイトをする人も珍しくないが、取材をするほどに千鶴のような存在も、現実世界にいることがわかったのは収穫だった。

 宮島氏

 1話目ができてから取材に行ったので、千鶴のモデルにしたわけじゃないんですが、本当に千鶴のような人がいるという話を聞いて、漫画に説得力が増したかなという気はしました。芸能界を目指しているという人もいるようで、だとしたら彼女のフリをするというのも演技で、それはある種の女優業でもありますからね。

 うだつの上がらない、しかも元カノに未練タラタラの大学生・和也と、容姿端麗で立ち居振る舞いもパーフェクトな千鶴。連載3年を迎えたところでアニメ化される際、宮島氏がお願いしたのは2つだけだ。

 宮島氏

 シナリオ会議で話したのは、水原(千鶴)がデレ過ぎないこと、和也がクズに見え過ぎないことの、2点だけですね。水原がデレデレしちゃうと、それこそ漫画の核が崩れてしまうので。和也については、連載している週刊少年マガジンの読者層と、アニメの視聴者層の違いを意識しました。マガジンの方は、和也みたいにうだつの上がらないキャラも許されるように思うんですが、アニメだと抵抗があるというか嫌われ過ぎてしまうかと思って。

 強い意志で働く千鶴と、複数の女性の中でフラつく和也。ファンアンケートでも、千鶴が嫌いと言った声はほとんどなく、一方で和也を「許すか・許さないか」の二択は、真っ二つに意見が分かれる。ファンの声をしっかりと受け止めた上で、伝わり方も捉える人も違うアニメ化には、中核の部分を大事に作っている。

 原作では和也と千鶴の関係はさらに目が離せなくなり、アニメでも2人だけでなく元カノ・七海麻美、超積極的な妹系アイドル彼女・更科瑠夏、人見知りだけど健気ながんばり屋の彼女・桜沢墨ら、いろいろな女性キャラクターの魅力も存分に味わえる作りになっている。

 宮島氏

 アニメの監督が、「彼女、お借りします」を分かりすぎるくらい分かってくれているので。作品の魅力は絶対に伝わると思います。

 いずれはBlu-rayでレンタルもできるかもしれないアニメ「彼女、お借りします」。アニメのストーリーもまだ数話の今なら、レンタルを待たずにオンデマンドなどを駆使して追いついてしまった方が、この夏のアニメライフは充実するはずだ。

(C) 宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会

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