ニコニコ動画の「たべるんごのうた」ブームから一気にシンデレラストーリーを駆け上がったアイドル「辻野あかり」。声はないけど歌い続けた彼女の魅力、「りんごろう」との歩み

 スマートフォン用ゲームアプリ『アイドルマスター シンデレラガールズ』が5月21日、「第9回シンデレラガール総選挙」と「ボイスアイドルオーディション」の結果を発表した。

多くのプロデューサーとアイドルにとって重要なこのイベントで、大きな話題を生んだのが「ボイスアイドルオーディション」で1位を獲得し、見事ボイスを獲得した「辻野あかり」だ。

彼女は2018年に登場したアイドルだが、ニコニコ動画に投稿されたひとつの動画「たべるんごのうた」を軸に今年春から人気が急上昇し、まさにシンデレラストーリーを駆け上った。

「りんご」と辻野あかり

辻野あかりは2018年12月20日15時に『アイドルマスターシンデレラガールズ』で初登場したアイドルだ。6thLIVEで告知された「7人の新アイドル」のうちのひとり目で、同期には過去に電ファミでも紹介した「夢見りあむ」、ボイスオーディションで2位を獲得したゲーム好きの「砂塚あきら」と同期となっている。

出身地である山形県を前面に押し出したキャラクターで、好きなものとして挙げている「りんご」と「らーめん」(山形県はらーめんの外食消費量日本一)はどちらも山形県の名産品となっている。実家はりんご農家で、手伝いをしていたため体力には自信がある。

彼女の親はアイドル活動を通してりんごのPRをさせようという魂胆があったためか、いつもライブ会場やイベント会場では実家のりんごを持ってPR活動をしている。なお実家の農作物が台風によって壊滅的な被害を受けたという実体験から「頑張るのが好きじゃない」と語っており、その控え目な性格はこの経験から来ているものではないかと推測できる。

りんごは好物であるだけには留まらず、辻野あかり自身の見た目もりんごに近いものとなっている。りんごの葉のようなアホ毛と、顔がすぐ赤くなることから「あかりんご」というあだ名がついている。ちなみにアホ毛は可動式であり、3DCG表現としてはかなり珍しい仕様となっている。

語尾に「んご」をつけることが特徴的だが、これはネットに出てきた都会で流行っているという誤情報を鵜呑みにしてしまったためらしく、今でも無意識にその語尾を発してしまうことがある。山形弁は可愛くないと思っているため発さないようにしているが、とっさに「なしてや…」という言葉が漏れてしまう時がある。

「りんごろう」というりんごを模したマスコットと共にすることが多く、後述する「たべるんごのうた」では、大きな活躍を見せてくれるが、扱いは若干雑なようにも見える。

ニコニコ動画で大流行「たべるんごのうた」

辻野あかりという名前が広まっていった要因として挙げられる代表的なものと言えば「たべるんごのうた」だろう。この動画がニコニコ動画に投稿されたのは2020年1月11日で制作者はバチさんというプロデューサーだ。

(画像はニコニコ動画「たべるんごのうた」より)

辻野あかりが、山形のりんごを「たべるんごー」といいながら紹介する歌で、曲の最後で唐突に「こいつはりんごろう」とりんごろうを紹介する。簡素でありながら、非常に中毒性があるために局所的に人気となった。

このシンプルな情報量と、最初からMADの素材として利用されることを想定したために添付された後半のBB(ブルーバック)素材が、他プロデューサーのクリエイター精神を燃やし、これから派生するMADの大量派生に貢献した。

歌詞
たーべるんごー たべるんごー
やまがたりんごをたべるんごー
おいしいりんごをたべるんごー
いっぱいたべるんごー(ンゴー)
たーべるんごー たべるんごー
やまがたりんごをたべるんごー
あーまいりんごをたべるんごー
もりもりたべるんごー(ンゴー)
こいつはりんごろう(ンゴー)

(画像はニコニコ動画「たべるんごのうた」より)

『アイドルマスター』シリーズとMAD文化は切っても切り離せない程親密な関係で、この「たべるんごのうた」もその流れを汲んでいる。

2020年1月に投稿された本作であったがその後も関連動画が増え続け、現在に至る。はじめのうちは動画の伸びは緩やかで、若干停滞気味な時期もあったが、2月下旬頃から再び急激に関連MAD動画が続々と投稿されている。

その第2次ブームとも呼ばれるブームの火付け役が「たべるんごのうただ」という動画を制作したアイマスMAD古参プロデューサーのメカPさん、そしてそれに影響を受けて動画を制作した「たべるんごぽるのうた」のyoutt6さんだ。

おもにこの2つの動画が、これ以降の「たべるんごのうた」派生作品の可能性を大きく開拓したと見ることができる。「人力ボーカロイド」で「たべるんごのうた」を歌わせたり、オリジナルの歌詞を追加するなどの要素が特徴として挙げられる。

※ニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴよりデータ提供

「たべるんごのうただ」の投稿日である2月24日から少しの制作期間を経て、3月になるくらいのタイミングで急速に投稿数および視聴数が増加し、「たべるんごのうた」は一躍ブームとなった。

お次はこちら「【MUGENキャラ作成】たべるんごのこを作る【辻野あかり】」『MUGEN』とはユーザーが自由にキャラクターやステージを追加することのできる2D格闘ゲームのことだ。タグに「MADの数だけ強くなる女」というものが付けられており、まさにMADの数だけ強くなったアイドル、辻野あかりを表すタグとなっている。現段階でパート3まで動画が投稿されている。

最後に紹介するのは「悪魔城たべるんごのうた」という動画だ。こちらは『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』のTAS動画に辻野あかりをトラッキングしたものとなっている。エンディングではいままでの派生動画を振り返っていく形となっているので、ぜひTASが好きな方は「たべるんごのうた」入門としてこの動画を観ていただきたい。

応援したくなる辻野あかりの魅力

辻野あかりを構成する要素として「たべるんごのうた」は非常に重要であるのだが、魅力はそれだけではない。「ボイスアイドルオーディション」で1位を獲得したのは彼女自身のポテンシャルと、ネタ要素だけではなくしっかりと彼女の魅力を伝えようとしていた「たべるんごのうた」派生作品の制作者の熱量のためであるに違いない。

一番最初の動画を制作したバチさんも「紹介されるのりんごろうさんだけであかりに一切触れられてないの流石に責任を感じた」とのことで、本来の目的であった彼女の魅力を伝える動画を第2次ブームのタイミングで投稿している。

彼女の魅力は、地元山形県とその名産品、また家族を愛する温かさにある。自分を育ててくれた存在には感謝の気持ちをしっかりと持って接する。農家の娘だからこそよりそのような気持ちが強く芽生えたのかもしれない。

また、表情が豊かでアホ毛でも感情を表現できるのが非常にかわいらしい。ぎこちない笑顔も、ドレスを妄想して楽しみにする顔も、彼女のアイドルらしさを表現する一面だ。

また同期の夢見りあむと砂塚あきらとコミュニケーションを取る姿もみられ、これからの彼女らの関係にも期待していきたい。二次創作では、もともとボイスを獲得していた夢見りあむが、辻野あかりと砂塚あきらのボイス獲得を祝福する姿が描かれており、感動的であった。

多くの人たちのたゆまぬ努力と応援が辻野あかりのボイス獲得に繋がった今回の「ボイスアイドルオーディション」。どのようなボイスが付くのか、非常に楽しみである。

文/tnhr

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